どないしよ…また資金繰りが厳しい。
銀行は時間がかかるし、2社間ファクタリングは手数料が高すぎる…。
そんな時、頭をよぎるのが「3社間ファクタリング」やと思います。
でも、一番怖いのが「取引先にバレたらどうしよう」ってことですよね。
正直に言うて、俺もずっとそう思ってました。
「あそこの会社、危ないんちゃうか?」なんて噂が立ったら、もう終わりやと。
せやけど、背に腹は代えられん状況で、ついに3社間ファクタリングに手を出したんですわ。
この記事では、俺が実際に取引先に通知して、どうなったか。
その「意外な結果」を包み隠さずお話しします。
同じ悩みを持つ社長さんの参考になれば、ほんまに嬉しいです。
目次
俺が頑なに3社間ファクタリングを避けていた理由
「取引先にバレる=信用の終わり」という恐怖
正直なところ、「資金繰りが苦しいです」と公言するようなもんやと思ってました。
長年かけてコツコツ築き上げてきた取引先との信頼関係が、一瞬でガラガラと崩れるんちゃうか…って。
その恐怖がずっとあったんです。
特にうちみたいな中小企業は、信用が第一ですからね。
株式会社タナカ精密工業は、主要な取引先2社で売上の8割を占めてるんです。
もし、そのどっちかにでも「あの会社、危ないかも」と思われたら、仕事が来なくなるかもしれん。
従業員18人とその家族の生活を背負ってる身としては、そのリスクだけは絶対に取れんと思ってました。
2社間ファクタリングで何とか凌いできた過去
これまでも、急な資金需要は何度もありました。
そんな時は、年3〜4回ほど、2社間ファクタリングを利用して何とか凌いできたんです。
ご存知の通り、2社間は取引先に知られへんのが最大のメリット。
でも、その分手数料が高い。
うちが使ってたところも、手数料は8%〜10%くらいでした。
受注額によっては、正直、利益がほとんど吹っ飛ぶんですよ。
「何のために仕事しとんねん…」って虚しくなることもありました。
それでも、「取引先に知られて信用を失うよりはマシや」と自分に言い聞かせて、高い手数料を払い続けてきたんですわ。
それでも3社間を選ばざるを得なかった「事件」
過去最大の受注と、まさかの設備トラブル
そんなある日、事件は起きました。
自動車業界のEVシフトの波が、うちみたいな小さな町工場にも来たんです。
新しいEV関連部品の、過去最大となる2,000万円の大型受注が決まりました。
「やった!」と事務所でガッツポーズしましたよ。
でも、喜びも束の間。
工場のメインで動いてるマシニングセンターが、大きな音を立てて止まってしもうたんです。
メーカーに見てもらったら、修理に300万円かかると。
さらに、今回の受注は特殊な材料が必要で、その仕入れと外注費で900万円が先に出ていく計算でした。
合計1,200万円…。
会社のキャッシュが一気に吹き飛ぶ金額でした。
2社間では赤字確定。銀行融資も間に合わない…
頭の中で必死に計算しました。
もし、この2,000万円の売掛金を2社間ファクタリングで資金化したらどうなるか。
2,000万円 × 手数料12%(高額案件なので少し高めに見積もって) = 240万円
手数料だけで240万円ですわ。
これでは、利益どころか赤字になってしまう。
慌ててメインバンクに相談に行きましたが、「審査に早くても2週間はかかります」との回答。
それでは納期に間に合わへん…。
まさに八方塞がり。
「どうしよう…この仕事、断るしかないんか…?」
その夜は、ほんまに一睡もできずに天井を眺めてました。
【実録】取引先への「債権譲渡通知」その一部始終
ファクタリング会社との入念な打ち合わせ
眠れない夜を過ごして、俺は腹を括りました。
「3社間ファクタリングしかない」と。
すぐに以前から目星をつけていた、評判の良いファクタリング会社に連絡しました。
そこで担当者と話して、目からウロコが落ちたんです。
「田中社長、これは『バレる』んじゃないんです。『こちらから丁寧に説明する』んですよ」
この一言で、俺の考え方は180度変わりました。
そうだ、隠し事をするから怪しまれるんや。
堂々と、誠実に説明すればええんやと。
そこから、ファクタリング会社の担当者と何度も打ち合わせを重ねました。
取引先にどう切り出すか、どんな資料(債権譲渡承諾依頼書)を持っていくか、想定される質問への回答は何か。
完璧な準備を整えました。
運命の日。取引先の購買部長にアポを取る
そして、運命の日。
一番大きな取引先の購買部長に、「重要なお話がありまして」とアポを取りました。
応接室に通されて、部長と二人きり。
心臓が口から飛び出しそうなくらい緊張して、自分でも分かるくらい汗だくでした。
「実は、ご相談がありまして…」
そう切り出した時の、部長の「え?どういうことですか?」という少し怪訝な顔。
今でも忘れられません。
正直に、誠実に。伝えたこと、聞かれたこと
俺は、練習した通り、正直にすべてを話しました。
- 過去最大の受注をいただいたことへの感謝。
- その生産のために、設備トラブルと材料費で先行投資が必要なこと。
- 銀行融資では間に合わないこと。
- そこで、今回の取引を万全の体制で進めるための「前向きな資金調達」として、売掛債権を活用したいこと。
隠さずに、ありのままを伝えました。
すると、腕を組んで聞いていた部長が、ふっと表情を緩めてこう言ったんです。
「田中さんとこの技術は信頼してるから。分かりました、協力しますよ」
その言葉を聞いた時の、全身から力が抜けるような安堵感。
ほんまに、涙が出そうでした。
取引先にバレた…その「意外な結果」とは?
心配されるどころか「もっと早く言えよ!」と激励された話
ここからが、この記事の核心部分です。
俺が一番恐れていた「関係悪化」とは、まったく逆の結果が待っていました。
購買部長は、こう続けてくれたんです。
「なんだ、そんなことか。もっと早く言えよ!うちも昔は資金繰りで走り回ったんだから、気持ちは分かるよ。無理して品質落とされたり、納期に遅れられたりする方が、こっちも困るんだからさ」
まさかの激励でした。
心配されるどころか、むしろ「頼ってくれてありがとう」とでも言わんばかりの雰囲気。
長年、真面目に良い製品を納め続けてきたことを見てくれていたんやなと、胸が熱くなりました。
手数料が2%台に!2社間との衝撃的な差額
そして、何より衝撃的やったのが手数料です。
- 2社間ファクタリング(想定):手数料12% → 240万円
- 3社間ファクタリング(実際):手数料2.5% → 50万円
その差額、なんと190万円!
これには本当に驚きました。
190万円あれば、新しいパートさんも雇えるし、従業員に臨時のボーナスだって出せるかもしれん。
「信用を失うのが怖い」という理由だけで、これまでどれだけのお金をドブに捨ててきたんや…と、正直ちょっと愕然としましたね。
むしろ信頼関係が深まった?
結果的に、今回の件で取引先との信頼関係は、むしろ深まったように感じています。
「この会社は、困った時に隠し事をせずに正直に相談してくれる会社だ」と、逆に評価してもらえたのかもしれません。
もちろん、これは長年かけて築いてきた信頼関係があったからこそ、という大前提は忘れたらあきません。
すべての会社で、同じようにうまくいくとは限りませんからね。
そこは注意が必要です。
よくある質問(FAQ)
最後に、俺が今回経験して分かったことを、Q&A形式でまとめておきます。
Q: 取引先には、何て言って切り出せばいいですか?
A: 「ご相談」という形でアポを取って、「今回の取引を円滑に進めるための前向きな資金調達です」と正直に伝えるのが一番やと思います。
ファクタリングという言葉に抵抗があるなら、「売掛債権を活用した資金調達」といった言い方でもええでしょう。
大事なのは、事前にファクタリング会社としっかりシミュレーションしておくことです。
Q: どんな取引先でも3社間ファクタリングは可能ですか?
A: 正直、難しいと思います。
長年の付き合いがあって、信頼関係がしっかりできている取引先でないと、不信感を持たれるリスクがあります。
新規や関係の浅い取引先の場合は、まずは2社間を検討する方が無難かもしれません。
Q: 取引先に断られたらどうなりますか?
A: 法律上、債権譲渡そのものを取引先は拒否できませんが、承諾が得られないと手続きがスムーズに進みません。
関係が悪化するリスクもあるので、無理強いは絶対にアカンです。
その場合は、潔く諦めて、別の取引先の売掛金で検討するか、2社間ファクタリングに切り替えることになります。
Q: ファクタリング会社は、取引先にどんな連絡をするんですか?
A: 基本的には、こちらから説明した後に、ファクタリング会社から「債権譲渡承諾書」という書類が送られて、それにハンコをもらう流れになります。
いきなりファクタリング会社から電話が行く、なんてことは絶対にないので安心してください。
必ず自社で状況をコントロールできます。
Q: 3社間ファクタリングのデメリットは本当にないんですか?
A: いや、そんなことはないです。
一番のデメリットは、やっぱり取引先に手間をかけてしまうことと、今回俺が経験したような精神的なハードルの高さですわ。
あと、2社間に比べて入金まで数日〜1週間ほど時間がかかる場合があります。
手数料の安さだけで飛びつくのは危険やと思います。
まとめ
長々と書いてしまいましたが、これが俺の3社間ファクタリング初体験のすべてです。
あれだけ怖かった「取引先にバレる」ということが、結果的に「関係を深める」きっかけになったのは、ほんまに意外でした。
もちろん、これはうちと取引先の関係性があったからこそ。
でも、一つ言えるのは、誠実に、正直に話せば、わかってくれる人はわかってくれる、ということですわ。
2社間の高い手数料に泣かされている社長さん、もし信頼できる取引先があるなら、3社間も選択肢に入れてみてはどうでしょうか。
この記事が、あんたの会社の資金繰りを良くする、何かのきっかけになれば幸いです。
お互い、厳しいけど頑張りましょな。