実体験レポート

初めてのファクタリング体験記〜申込みから入金まで全記録〜

「ファクタリングって、実際どうなん?」

正直なところ、税理士さんからその言葉を聞くまで、僕もそう思ってました。
どうも、埼玉県で小さな町工場を経営している、田中健一です。

自動車部品の製造業をやってまして、従業員は18人。
絵に描いたような中小企業のオヤジです。

この記事は、僕が初めてファクタリングを使った時の、ホンマにリアルな体験記です。
なんで使うことになったんか。
実際の金額や手数料、入金までのスピード感はどうやったんか。

そして、初めて利用するときの「ホンマに大丈夫か…?」っていう不安や迷い。
そういうのも全部、包み隠さず書こうと思います。

もし、あなたが昔の僕みたいに、資金繰りのことで一人で頭を抱えてるんやったら。
この記事が、何か少しでも役に立つかもしれへん。
そんな思いで、キーボードを叩いています。

なぜファクタリングを使うことになったのか?

資金繰りに直面した現場のリアル

あれは2022年の3月のことでした。
ありがたいことに、主要な取引先から1,200万円っていう、うちにしてはかなり大きな受注をいただいたんです。
現場の皆も「よっしゃ!」って活気づいてました。

でも、社長の僕は内心、冷や汗もんでした。
その仕事、材料費と外注費で、先に800万円ほどのお金が出ていく計算やったんです。
手元のキャッシュはギリギリ。
このままやと、支払いができんようになる…。

「黒字倒産」って言葉が、頭をよぎったのはこの時が初めてです。
仕事はあるのに、お金が回らん。
中小企業の経営者なら、この怖さ、分かってもらえるんちゃいますかね。

黒字倒産については、三菱UFJ銀行のこちらの記事が参考になります→なぜ黒字倒産する?キャッシュフローを知って、20代から経営者目線を持とう!

銀行融資では間に合わないという現実

真っ先に頭に浮かんだのは、いつもお世話になってる銀行からの追加融資でした。
すぐに担当者に電話して事情を説明したんですが、返ってきた言葉は非情なもんでした。

「審査に、どうしても3週間はかかります」

いやいや、それでは間に合わへん。
材料の支払いは来週に迫ってる。
このチャンスを逃したら、会社の信用問題にも関わるし、何より従業員に申し訳ない。
ホンマに、八方ふさがりでした。

税理士からの意外な提案「ファクタリングって知ってますか?」

もうアカンかもしれん…。
弱音を吐きそうになりながら、顧問の税理士さんに相談したんです。
そしたら、先生がポツリと言いました。

「田中さん、ファクタリングって知ってますか?」

ファクタリング?
名前は聞いたことあるけど、なんかこう、ちょっと怖いイメージでした。
手数料がめちゃくちゃ高いとか、ヤミ金と変わらんとか…。
正直、最初はかなり疑ってましたね。

でも、先生は「ちゃんとした会社を選べば、銀行融資より早く資金化できる有効な手段ですよ」と教えてくれたんです。
もう、これに賭けるしかない。
僕はワラにもすがる思いで、ファクタリングについて調べることにしたんです。

申込み前の迷いと準備

「手数料って高いんちゃうん?」──最初の印象

やっぱり一番気になったんは、手数料ですわ。
ネットで調べると、まあ出てくる出てくる。
「手数料3%〜」とか書いてあるけど、ホンマかいなと。

僕みたいな町工場が使う「2社間ファクタリング」っていうのは、取引先に知られずに済む代わりに、手数料が高くなる傾向があるらしい。
だいたい10%〜20%が相場やと。
100万円借りたら10万円から20万円が手数料…。
正直、「うわ、高っ!」と思いました。

でも、今回の大口受注を逃す機会損失を考えたらどうやろか?
800万円の支払いができずに1,200万円の売上をパーにするよりは、マシかもしれん。
そう自分に言い聞かせて、前に進むことにしました。

情報収集:ネット検索と税理士との相談

とにかく情報を集めました。
やったことは、主にこの3つです。

  1. ネットでの業者比較: 「ファクタリング 比較」「ファクタリング 中小企業」みたいなキーワードで検索して、いくつか候補をリストアップしました。
  2. 口コミの確認: 実際に利用した人のブログや口コミサイトを読み漁りました。良いことばっかり書いてあるサイトは、ちょっと信用できへんなと思ったり。
  3. 税理士さんへの再相談: リストアップした業者を税理士さんに見せて、評判や安全性を一緒に確認してもらいました。やっぱり専門家の意見は心強いですわ。

書類の準備と社内での共有(従業員への説明は?)

申込みには、いくつか書類が必要でした。
うちが準備したのは、こんな感じです。

  • 会社の登記簿謄本と印鑑証明
  • 僕自身の本人確認書類(免許証のコピー)
  • 決算書(2期分)
  • 今回ファクタリングしたい売掛金の請求書と、取引先との基本契約書
  • 会社の通帳のコピー(直近3ヶ月分くらい)

ここで悩んだのが、社内での共有です。
特に経理を担当してくれてるパートさんには、通帳の動きで分かってしまう。
正直に話すべきか、迷いました。

結論として、僕は経理担当のベテランパートさんと、工場長だけに事情を説明しました。
「会社のピンチを乗り切るための一時的な手段やから、心配せんでくれ」と。
変に隠し立てするより、信頼してる仲間には正直に話して良かったと今では思ってます。

ファクタリング会社とのやりとり

選んだのはどんな会社か?(業者選定の理由)

最終的に僕が選んだのは、中堅どころのファクタリング会社でした。
決め手は、以下の3点です。

  • 手数料が明確やったこと: ホームページに「8%〜18%」と幅を持たせて正直に書いてあった。安さだけをアピールしてないところに、逆に誠実さを感じました。
  • 担当者の対応が丁寧やったこと: 電話で問い合わせた時の対応が、すごく丁寧で分かりやすかったんです。こっちの不安な気持ちをちゃんと汲み取ってくれました。
  • 契約内容がクリアやったこと: 「償還請求権なし(ノンリコース)」っていう契約かどうかを最初に確認しました。これは、万が一取引先が倒産しても、僕が返済義務を負わなくていいっていう、めちゃくちゃ大事なポイントです。

面談当日の様子:正直、めちゃくちゃ緊張した

申込みから2日後、ファクタリング会社の担当者がうちの事務所まで来てくれました。
いやー、緊張しましたね。😅
汗だくで、しどろもどろやったと思います。

でも、担当の方はすごく物腰の柔らかい人で。
「田中社長、大変でしたね。我々もこういうケースでこそお役に立ちたいんです」と言ってくれて。
こちらの事業内容や、今回の受注がいかに大事かを熱心に聞いてくれました。
ただの「金の貸し借り」やない、事業を理解しようとしてくれる姿勢が嬉しかったです。

契約内容と注意点:知らないと損するポイント

面談で提示された契約内容を、穴が開くほど読み込みました。
特に僕が注意したんは、手数料以外の費用です。

  • 登記費用: 債権を譲渡したことを法的に示す「債権譲渡登記」が必要な場合、その費用がかかることがあります。僕の場合は不要でした。
  • 印紙代: 契約書に貼る収入印紙代ですね。
  • 振込手数料: これはまあ、当然かかります。

こういう細かい費用が積み重なると、結局高くつくこともある。
「最終的に、手元にいくら入るんですか?」
これをハッキリさせることが、何より大事やと思います。

実際の取引内容と入金までの流れ

売掛金600万円、手数料12%──具体的な数字を公開

今回、僕がファクタリングしたのは、大口受注の一部です。
具体的な数字を出すと、こんな感じでした。

項目金額
売掛金の額面6,000,000円
ファクタリング手数料12%(720,000円)
その他経費(印紙代など)約5,000円
実際に入金された額5,275,000円

手数料12%(72万円)。
正直、めちゃくちゃ痛い金額です。
でも、これで800万円の支払いの目処が立ち、1,200万円の売上を守れる。
そう考えたら、必要経費やと割り切りました。

入金までにかかった日数とそのスピード感

これが一番驚いたところです。

  1. 月曜日: 税理士に相談、業者を探し始める
  2. 火曜日: 業者に電話で問い合わせ、申込み
  3. 木曜日: 業者との面談、契約
  4. 金曜日: 指定口座に入金を確認

なんと、申込みからたったの3営業日で入金されたんです。
銀行融資の「3週間」と比べたら、驚異的なスピードでした。
通帳に「5,275,000」の数字が並んだのを見たときは、ホンマにホッとしました。

入金後の使い道と感じた安心感

入金されたお金は、すぐに材料費と外注費の支払いに充てました。
これで、納期に間に合う。
従業員にも、取引先にも迷惑をかけずに済む。

お金が振り込まれた安心感も大きかったですが、それ以上に「事業を止めずに済んだ」っていう安堵感が強かったです。
社長にとって、事業が止まることほど怖いことはないですからね。

やってみて分かったメリットとリスク

正直、助かった。でも「これは最後の手段やな」とも思った

結論から言うと、ファクタリングには本当に助けられました。
あのスピードがなかったら、間違いなくあの仕事は失注してました。
そういう意味では、感謝しかありません。

ただ、同時にこうも思いました。
これは、あくまで緊急時の最後の手段やな」と。
手数料12%というのは、うちみたいな薄利の会社にはやっぱり重い。
これを常用してたら、会社の利益がどんどん削られていく。
そこは冷静に判断せなあかんポイントです。

取引先にバレない仕組みとその安心感

今回利用した2社間ファクタリングは、取引先に通知が行きません。
売掛金の回収は、いつも通りうちの会社がやって、期日通りにファクタリング会社に支払う、という流れです。
だから、取引先との関係が悪化する心配はなかった。
これは精神的にすごく大きかったです。

もし「ファクタリングの利用がバレたら、今後の取引に影響するんちゃうか…」って不安に思ってる人がいたら、2社間ファクタリングならその心配はほとんどない、と伝えたいです。

手数料に見合う価値はあったか?

72万円の手数料。
この価値があったかどうか。

僕の答えは、「今回は、あった」です。
なぜなら、失う可能性があった利益や信用を考えれば、72万円は必要投資やったからです。
でも、これはあくまで「今回の場合」です。
もし、失うものがもっと小さかったら、判断は変わっていたかもしれません。
そこを見極めるのが、経営者の仕事なんやろなと思います。

2回目以降の学びと工夫

業者の比較と交渉術:同じ失敗はせえへん

実は、あの後も年に数回、緊急時にファクタリングを利用することがあります。
でも、初回と同じ失敗はしません。

一番大事なのは、相見積もりを取ることです。
2回目以降は、必ず3社くらいから見積もりを取るようにしました。
そうすると、業者側も競争意識が働くのか、手数料を下げてくれることがあるんです。

手数料を抑えるためにしたこと

相見積もりの他にも、手数料を少しでも安くするために工夫したことがあります。

  • 継続利用をアピールする: 「今後も継続的にお願いする可能性がある」と伝えることで、優良顧客として見てもらえ、手数料交渉がしやすくなります。
  • 信用力の高い売掛先を選ぶ: 同じ会社の売掛金でも、相手の会社の規模や信用力によって手数料は変わります。できるだけ信用力の高い(=倒産リスクの低い)取引先の債権を選ぶようにしています。

こういう工夫で、今では手数料8%〜10%くらいで利用できるようになりました。
初回と比べたら、大きな進歩ですわ。💪

緊急時の資金調達の「選択肢」としてのファクタリング活用法

僕にとって、ファクタリングは「借金」とは違う、まったく別の引き出しです。
銀行融資が「計画的な設備投資」のための手段なら、ファクタリングは「突発的な事故」に備えるための保険みたいなもんやと思ってます。

普段から銀行との関係を良好に保ちつつ、いざという時のためにファクタリングという選択肢も持っておく。
この「選択肢の多さ」が、中小企業の厳しい資金繰りを乗り切るための、一つの武器になるんやないでしょうか。

同じ悩みを持つ経営者へ伝えたいこと

ファクタリングは「悪」じゃない、でも「魔法」でもない

世間では、まだファクタリングに悪いイメージがあるかもしれません。
でも、僕の実体験から言えるのは、ファクタリングは決して「悪」やないということです。
正しく使えば、会社を救ってくれる強力なツールになります。

ただし、それは「魔法」でもない。
高い手数料という代償は必ず伴います。
その代償を払ってでも守りたいものがあるのかどうか。
それを見極める冷静な目が必要です。

自分の経験から学んだ判断基準

もし、あなたが利用を迷っているなら、この3つを自問自答してみてください。

  1. 本当に「今」でなければならないのか?: 銀行融資を待つ時間的な余裕は、本当にないのか?
  2. 手数料を払っても、利益は残るのか?: その取引全体で見たときに、赤字になってしまわないか?
  3. これを繰り返さないための対策は考えられるか?: 今回を乗り切った後、同じ状況に陥らないための改善策はあるか?

この問いにすべて「YES」と答えられるなら、ファクタリングを検討する価値は十分にあると思います。

「もしまた困ったら?」──今ならこうする

もし、また同じような状況になったら?
今なら、もっと落ち着いて行動できると思います。

まず、慌てて1社に決めたりはしません。
手元にある優良な売掛債権のリストを作って、最低でも3社のファクタリング会社に相見積もりを依頼します。
そして、一番条件の良い会社と、冷静に交渉を進める。
初回の経験があるからこそ、今はそう思えます。

まとめ

長々と書いてしまいましたが、これが僕のファクタリング初体験の、包み隠さない全記録です。
最後に、僕がこの経験から学んだことをまとめさせてください。

  • ファクタリングは、銀行融資が間に合わない時の緊急手段として非常に有効やった。
  • 手数料は高い。でも、機会損失と天秤にかける視点が大事。
  • 業者選びは慎重に。相見積もりと契約内容の確認は絶対にせなあかん。
  • 一番の学びは、資金調達の「選択肢を持つこと」がいかに大切かということ。

経営者は孤独やと言います。
特に資金繰りの悩みは、従業員にはもちろん、家族にさえなかなか相談できへんもんですよね。

もしあなたが今、「誰にも相談できへん…」と一人で悩んでいるなら、この記事を思い出してください。
同じように悩み、なんとか乗り越えてきた町工場のオヤジが、ここにも一人おるんやと。

お互い、大変なことも多いですけど、頑張りましょうや。
何か質問があれば、コメント欄にでも書いてください。
同じような経験をした方の話も聞かせてもらえると、僕も嬉しいです。