「ファクタリングって、手数料高すぎちゃう?」
正直なところ、私が初めてファクタリングの提案を受けたとき、真っ先に思ったのがこれでしたわ。
どうも、はじめまして。
埼玉の川口市で、親父から継いだ自動車部品の町工場を経営してる田中健一です。
従業員はパートさんも入れて18人。
決して大きな会社やないですけど、従業員とその家族の生活を守るために、日々必死にハンドルを握っとります。
資金繰りっていうのは、我々みたいな中小企業の社長にとって、永遠のテーマみたいなもんです。
特に、銀行融資との違いがよう分からんかった昔の自分に、今の知識を持って教えてやりたいと、時々本気で思います。
「手数料が高い」っていうイメージだけで、大事な選択肢をハナから捨ててしまうのは、もったいない。
でも、何も知らんと飛びつくのは、もっと危ない。
この記事では、うちみたいな町工場の社長が、実際にファクタリングを使ってみて感じた「コスト面のリアルな話」と、銀行融資とどっちを選ぶべきかの「判断のポイント」を、包み隠さずお話ししようと思います。
ファクタリングって実際どうなの?
うちが初めて使ったときのリアル体験談
あれは3年ほど前の3月のことでした。
ありがたいことに、主要な取引先から1,200万円っていう、うちにとってはかなり大きな受注をいただいたんです。
「よっしゃ!」と喜んだのも束の間、すぐに頭を抱えることになりました。
材料費やら外注費やらで、先に800万円が出ていく計算やったんです。
手元のキャッシュはギリギリ。
支払いサイトは90日後。
慌ててメインバンクに相談したら、「追加融資ですね。審査に3週間は見てください」と。
それでは納期に間に合わん…。
万事休すかと思ったその時、顧問税理士の先生から「田中さん、ファクタリングっていう手もありますよ」と教えてもらったんです。
正直、聞いたことはありました。
でも、「手数料が高い」「なんか怪しい」っていう、漠然とした不安しかなくて。
何より、「取引先にバレたら、うちの会社、資金繰りヤバいんか?って思われるんちゃうか」っていうのが一番怖かったですわ。
でも、背に腹は代えられん。
藁にもすがる思いで、紹介されたファクタリング会社に連絡を取ったのが、うちのファクタリング初体験です。
手数料の仕組みと相場感(2社間・3社間の違い)
ファクタリングには、大きく分けて2つのやり方があるんです。
これは、使う前に絶対に知っておいた方がええポイントです。
- 2社間ファクタリング
- うちの会社と、ファクタリング会社の2社だけで契約するやり方です。
- 最大のメリットは、取引先に知られずに済むこと。
- 入金も早くて、うちの時は申込から3日で振り込まれました。
- ただ、ファクタリング会社からすると、うちがちゃんと入金されたお金を横領せんと払うか分からんので、リスクが高い。せやから、手数料は高めになります。
- 3社間ファクタリング
- うちの会社と、ファクタリング会社、そして売掛金の支払い元である取引先の3社で契約します。
- 取引先に「この売掛金はファクタリング会社に譲渡しましたよ」っていう承諾をもらう必要があります。
- ファクタリング会社は取引先から直接お金を回収できるんで、リスクが低い。だから手数料は安くなるんですわ。
うちが最初に使ったのは、もちろん「2社間」です。
手数料の相場は、2社間で大体8%~20%、3社間やと1%~9%くらいと言われてます。
取引先に知られたくないっていう心理が働いて、多くの会社が2社間を選ぶみたいですね。
「高い」と感じた本当の理由と納得できた瞬間
で、肝心の手数料ですが、うちが600万円の売掛金を買い取ってもらった時の手数料は、12%の72万円でした。
「な、72万!?」
見積もりを見た時、正直、目ん玉が飛び出ましたわ。
銀行の金利と比べたら、とんでもない数字に見えます。
でも、その時ハッとしたんです。
もし、このファクタリングを使わんかったら、どうなってたか?
800万円の先行投資ができず、1,200万円の受注そのものがパーになってたかもしれん。
目先の72万円を惜しんだせいで、得られるはずやった利益どころか、売上そのものを失うところやった。
そう考えたら、この72万円は「高い手数料」やなくて、「機会損失を防ぐための必要経費」なんやと。
そう思えた瞬間、スッと腹に落ちました。
もちろん、安いに越したことはないですけどね。
他の社長たちはどう使ってる?勉強会で聞いた話
月に1回、異業種の経営者が集まる勉強会があるんですが、そこでファクタリングの話をしたら、意外とみんな使ってて驚きました。
「うちは建設業だから、入金サイトが半年先とかザラでね。その間のつなぎ資金として、年2回くらいは必ず使ってるよ」
(建設業・社長)「うちはIT系だけど、急なサーバー増強とかで突発的な出費が多いんだ。銀行に短期融資を頼むより、ファクタリングの方が早いし、手間もかからないから助かってる」
(IT企業・社長)
みんな、銀行融資が使えないからっていうネガティブな理由だけやなくて、事業をスムーズに進めるための「攻めのツール」として、戦略的に使ってるんですよね。
うちも、それからは緊急時だけじゃなく、計画的に活用するようになりましたわ。
銀行融資との比較:何がどう違う?
ファクタリングが高いか安いかを判断するには、銀行融資との違いをちゃんと理解しておく必要があります。
似てるようで、全くの別物ですからね。
金利vs手数料:数字で見るコスト構造の違い
一番分かりやすいのが、お金にかかるコストの呼び方です。
- 銀行融資 → 「金利」
- 借りたお金と期間に対して、年利何%という形で利息を払います。借入なので、会計上は「負債」になります。
- ファクタリング → 「手数料」
- 持っている売掛金(資産)を売った時の、買取手数料です。借金やないので、負債は増えません。
単純に数字だけ比べると、銀行融資の金利(年利1%~)の方が、ファクタリングの手数料(1回で数%~)より圧倒的に安く見えます。
でも、話はそんなに単純やないんです。
スピード感:審査にかかる時間の差
うちが銀行に追加融資を頼んだ時は「3週間」と言われました。
プロパー融資やと、1ヶ月以上かかることも珍しくないそうです。
一方、ファクタリングは最短即日。
うちの場合も3日でした。
このスピードの差は、資金繰りが火の車になってる時には、まさに命綱になります。
資金調達方法 | スピード感の目安 |
---|---|
ファクタリング | 最短即日~数日 |
銀行融資 | 数週間~1ヶ月以上 |
柔軟性と使いやすさ:必要な時に動けるかどうか
銀行融資は、事業計画書やら試算表やら、たくさんの書類を準備して、面談して…と、かなりの手間と時間がかかります。
一度借りたら、あとは毎月返済していく形です。
ファクタリングは、売掛金さえあれば、必要な時に必要な分だけサッと資金化できる。
この柔軟性の高さは、売上の変動が激しい中小企業にとっては、ものすごい武器になります。
担保・保証の有無と心理的ハードル
銀行からお金を借りる時、特にプロパー融資やと、会社の土地や社長個人の家を担保に入れたり、保証人になったりすることが求められます。
これは、経営者にとってかなりの心理的プレッシャーですわ。
「もし返せんかったら…」って思うと、夜も眠れんくなります。
その点、ファクタリングは基本的に担保も保証人も不要です。
審査で重視されるのは、うちの会社の財務状況よりも、「取引先の信用力」やから。
「あの会社なら、ちゃんと期日に払ってくれるやろ」と判断されればOKなんです。
この心理的なハードルの低さは、大きな違いやと思います。
実際いくらかかるのか?数字で比較してみた
うちのケース(ファクタリング利用3回分の実例)
百聞は一見に如かず、ということで、うちが実際に使った3回分の例をお見せします。
最初は高かった手数料も、業者さんを変えたり、交渉したりして、少しずつ安く抑えられるようになってきました。
利用時期 | 売掛金額 | 買取金額 | 手数料率 | 手数料額 | 目的 |
---|---|---|---|---|---|
2022年3月 | 600万円 | 528万円 | 12.0% | 72万円 | 大口受注の運転資金 |
2022年11月 | 400万円 | 360万円 | 10.0% | 40万円 | 賞与支払い資金 |
2023年9月 | 500万円 | 455万円 | 9.0% | 45万円 | 設備故障の修理費 |
同じ資金を銀行融資で借りたらどうなっていたか
仮に、初回の600万円を銀行から短期のつなぎ融資で借りられたとしましょう。
金利が年2.0%やとしたら、90日(3ヶ月)分の利息は…
600万円 × 2.0% ÷ 12ヶ月 × 3ヶ月 = 10万円
こう見ると、銀行の方が圧倒的に安い。
「やっぱりファクタリングは高いやんけ!」と思いますよね。
でも、忘れたらあかんのが、「もし銀行融資が間に合わなかったら」という視点です。
コストだけで決めると失敗するかもしれん理由
もし、銀行の審査を待ってる3週間の間に、材料の仕入れが遅れて、1,200万円の受注がキャンセルになってたら?
うちの損失は、利息の10万円とか手数料の72万円とかいうレベルやない。
1,200万円の売上と、そこから得られるはずやった利益、そして取引先からの信用、そのすべてを失ってたわけです。
そう考えると、単純なコスト比較だけでは、正しい経営判断はできんのです。
緊急時の「損して得取れ」判断の大切さ
資金繰りにおける「損して得取れ」とは、まさにこのこと。
目先のコスト(手数料)を支払ってでも、より大きな利益(売上や信用)を守る。
時には、この判断ができるかどうかが、会社の生死を分けることもあると、私は本気で思っています。
どっちを選ぶ?判断ポイントまとめ
ファクタリングが向いてるケースと向いてないケース
うちの経験から言うと、こんな場合はファクタリングが向いてると思います。
👍 ファクタリングが向いてるケース
- とにかく急いで資金が必要な時(例:急な大口受注、設備の故障)
- 銀行融資の審査に通らない、または時間がかかりすぎる時
- 借入をしたくない、負債を増やしたくない時
- 取引先の入金サイトが長くて、キャッシュフローが苦しい時
逆に、計画的な設備投資みたいに、時間に余裕があって、大きな金額が必要な場合は、やっぱり金利の安い銀行融資の方が向いてますね。
銀行融資がベストなタイミング
- 時間に余裕がある、計画的な資金調達(例:工場の増設、高額な機械の導入)
- できるだけコストを抑えたい時
- 銀行との取引実績を作って、信用を積み重ねたい時
両方を組み合わせる中小企業流の資金繰り戦略
結論として、どっちが良くてどっちが悪い、という話やないんです。
「普段は銀行融資、緊急時はファクタリング」
この2つを、状況に応じて使い分ける。
これが、我々みたいな体力のない中小企業が生き残るための、賢い資金繰り戦略やと私は思います。
自社の状況をどう見極めるか(自己診断チェック)
もし迷ったら、この3つを自問自答してみてください。
- 【緊急度】 その支払いは、1週間以内に必要か?
- 【金額】 必要な金額は、手持ちの売掛金の範囲内か?
- 【代替案】 銀行に頼んだら、間に合うか?そもそも借りられるか?
この答えが全部「YES」なら、ファクタリングを検討する価値は十分にあるはずです。
まとめ
長々と書いてしまいましたが、私が一番伝えたかったのは、こういうことです。
- ファクタリングの手数料は、銀行金利と比べれば確かに高い。
- でも、その「高さ」は、スピードと柔軟性、そして機会損失を防ぐための「保険料」と考えることもできる。
- 「高いか安いか」だけで判断するんやなく、「今の自社の状況に合ってるかどうか」で判断することが何より大事。
- 銀行融資とファクタリングは敵同士やない。両方の特徴を理解して、うまく使い分けるのが賢い社長のやり方や。
手数料は確かに痛いです。
でも、資金がショートして従業員に給料が払えんようになったり、黒字なのに倒産したりするリスクの方が、もっともっと痛いですから。
この記事が、かつての私と同じように資金繰りで頭を悩ませている、どこかの社長さんの判断の助けに、少しでもなれば嬉しいです。
お互い、会社と従業員を守るために、明日も頑張りましょうや。