資金繰り。
この言葉を聞くだけで、胃がキリッと痛む経営者仲間は、きっと少なくないはずです。
うちみたいな中小企業にとって、ファクタリングは“使える武器”になるんか、それとも下手に手を出したらアカンもんなんか。
正直、使う前は不安でいっぱいでしたわ。
今日は、実際に2社間と3社間の両方を使ってみた、このワシ、株式会社タナカ精密工業の田中が、そのリアルな体験と本音を語らせてもらいます。
手数料は?スピードは?取引先にバレへんのか?
「正直なところ」、どっちが安心できて、どっちがコスパがいいのか。
そんな現場の話を、包み隠さずお伝えしますわ。
目次
ファクタリングって何や?うちが最初に使った時の話
ファクタリングを知ったきっかけ
そもそも、ワシがファクタリングを知ったんは、付き合いの長い税理士の先生からでした。
「田中社長、銀行融資だけが資金調達やないですよ」と。
最初は「ファクタリング?なんやそれ、カタカナでよう分からんわ」てな感じでした。
売掛債権、つまり「未来にもらえるはずのお金」を先に買い取ってもらう仕組みやと。
ふーん、そんな方法があるんかと。
その時は、まだどこか他人事でしたな。
まさか、すぐに自分が使うことになるとは思ってもみませんでした。
初めての利用:緊急で600万円が必要になった日
忘れもしません、あれは2022年の3月のことでした。
ありがたいことに、主要な取引先から1,200万円ほどの大口受注が入ったんです。
そらもう、従業員一同で喜びましたわ。
でも、問題はここから。
その部品を作るのに、材料費やら外注費やらで、先に800万円ほどの現金が出ていく計算になったんです。
手元のキャッシュだけでは、どうにも足りん。
慌ててメインバンクに相談したら、「追加融資ですね。審査に3週間は見てください」と。
3週間!?
そんなに待ってたら納期に間に合わへん!機会損失や!
まさに、目の前が真っ暗になるって、こういうことやなと思いました。
「どないしよ…このままやと、せっかくのチャンスを逃してしまう…」
ホンマに、夜も眠れんくらい悩みました。
そんな時、ふと税理士の先生の言葉を思い出したんです。
「ファクタリング」ってやつが、あるやないかと。
不安と疑念:「ホンマに大丈夫か?」という気持ち
藁にもすがる思いでファクタリングについて調べ始めました。
でも、調べれば調べるほど、今度は不安が出てくるんですわ。
- 「手数料がめちゃくちゃ高いって書いてある…」
- 「中にはヤミ金みたいな怪しい業者もおるらしい…」
- 「万が一、取引先に知られたら、うちの会社の信用ガタ落ちやないか?」
正直なところ、疑いの気持ちの方が大きかったかもしれへん。
でも、背に腹は代えられん。
この大口受注を逃すわけにはいかんのです。
ワシは意を決して、ファクタリング会社の門を叩くことにしました。
2社間ファクタリングのリアル
手数料とスピード:数字で見るコスト感
最初に使ったんは、「2社間ファクタリング」でした。
理由は単純で、「取引先に知られずに資金調達できる」これに尽きます。
うちみたいな下請けは、親会社の信用がすべてですからな。
実際の数字をお見せすると、こんな感じでした。
- 売掛金額:600万円(売掛金の一部を現金化)
- 手数料:12%(72万円)
- 手取り額:528万円
- 入金までの期間:申し込みから3営業日
手数料72万円。
正直、めちゃくちゃ痛い。
銀行の金利と比べたら、目ん玉飛び出るくらい高いですわ。
でも、あの時のワシには、3週間待つことのリスクの方が大きかった。
このスピード感は、銀行融資にはない圧倒的なメリットやと感じました。
「取引先にバレない」って本当?うちの場合は…
これが一番心配なとこですよね。
結論から言うと、うちの場合はバレませんでした。
2社間ファクタリングは、うちとファクタリング会社の2社だけで契約が完結します。
取引先への通知も承諾もいらんのです。
せやけど、100%バレへんとは言い切れんのが怖いところ。
契約内容によっては「債権譲渡登記」っちゅうのが必要になる場合があるんですわ。
これは法務局に「この売掛金はうちのもんやで」と登録するようなもんで、誰でも見ようと思えば見れる。
だから、ワシは契約前に「登記は必要ですか?」ってしつこく確認しました。
幸い、ワシが頼んだところは登記不要やったんで、ホンマにホッとしました。
実際のメリット・デメリットを整理してみた
ここで、ワシが実際に2社間を使ってみて感じたメリットとデメリットを、正直にまとめてみますわ。
2社間ファクタリング | メリット | デメリット |
---|---|---|
スピード | 圧倒的に速い(最短即日も) | – |
手続き | 取引先の承諾が不要でシンプル | – |
信用情報 | 取引先に知られるリスクが低い | 契約内容(登記の有無)の確認は必須 |
コスト | – | 手数料が高い(これが最大のネック) |
結局、2社間は「時間と信用をお金で買う」ようなもんやと、ワシは解釈してます。
緊急事態には、これ以上ないくらい頼りになる“切り札”ですわ。
3社間ファクタリングも使ってみた
なぜ3社間を選んだか?その時の事情
2社間ファクタリングで急場をしのいでから1年くらい経った頃ですかな。
今度は、老朽化した機械の修理で、まとまったお金が必要になったんです。
ただ、今回は初回ほど切羽詰まってはいなかった。
少し時間に余裕があったんです。
そこで考えたのが「3社間ファクタリング」でした。
理由は、やっぱり手数料の安さです。
2社間で10%以上取られるのは、正直なところ、会社の利益をかなり圧迫しますからな。
少しでもコストを抑えたい、そう思うのが経営者の性(さが)ですわ。
取引先との調整は大変?それとも意外とスムーズ?
3社間の最大のハードルは、取引先にファクタリングの利用を通知して、承諾をもらわなあかんことです。
「資金繰りに困ってるんか?」なんて思われたら、今後の取引に響くかもしれん。
これが怖くて、二の足を踏む人が多いんやないでしょうか。
うちの場合は、長年の付き合いがある主要取引先の1社に絞って、正直に話すことにしました。
「社長、正直に言います。来月の設備修理で少し資金がタイトになりそうでして。つきましては、来月分の売掛金の一部を、ファクタリングで早期資金化させて頂けませんでしょうか」と。
そしたら、意外にも担当役員の方が「ああ、タナカさんとこの事情なら分かったよ。手続きの書類、送ってちょうだい」と、あっさり承諾してくれたんです。
これはもう、今まで真面目に仕事してきて良かったと、心底思いましたな。
会社の信頼関係がモノを言う世界やと、改めて実感しました。
手数料は?スピードは?現場で感じた違い
取引先の承諾さえ取れれば、3社間はええことずくめでした。
- 手数料が安い!:2社間で12%やった手数料が、3社間やと3%で済みました。同じ600万円を調達したとして、手数料は18万円。その差は54万円です。これはデカい!
- 審査がスムーズ:ファクタリング会社が見るのは、主に取引先の信用力です。うちみたいな中小企業より、大手の取引先の方が信用あるんで、審査もすんなり通りました。
- スピードはそこそこ:ただ、取引先の承諾をもらったり、契約書を3社でやり取りしたりするんで、入金までは1週間ちょっとかかりました。スピード感は2社間には敵いませんな。
2社間 vs 3社間、うちの結論はこうなった
使い分けのポイント:状況と相手先によって変える
結局、どっちがええのか。
これはもう、「会社の状況と、相手先との関係性による」としか言えませんわ。
うちでは、今こんな感じで使い分けてます。
- 緊急で、誰にも知られずに資金が欲しい時 → 2社間ファクタリング
- 時間に少し余裕があり、手数料を抑えたい時 → 3社間ファクタリング
まさにケースバイケース。
どっちか一方だけ、と決めつけるのはもったいない。
両方の特徴を理解して、状況に応じて使い分けるのが一番賢いやり方やと思います。
緊急性と信頼関係が分かれ目やと思う
一番の分かれ目は、やっぱり「緊急性」と「取引先との信頼関係」の2つです。
とにかく明日までに現金が必要!という極限状態なら、手数料が高くても2社間を選ぶしかない。
一方で、取引先と良好な関係が築けていて、「ちょっと相談が…」と切り出せる相手がいるなら、間違いなく3社間の方が会社の負担は軽くなります。
自分の会社の状況を、冷静に見極めることが大事ですな。
「うちはこうしてる」実際の判断基準
参考までに、うちがファクタリングを使う時に考えてる判断基準をリストアップしときます。
- まず銀行相談:何よりも先にメインバンクに相談する。
- 融資が間に合わないか?:銀行のスピードでは無理な場合、初めてファクタリングを検討。
- 取引先に話せるか?:3社間を頼める信頼関係のある取引先があるか考える。
- 手数料とスピードを天秤にかける:話せる相手がいなければ、2社間の手数料を払ってでも資金調達する価値があるか最終判断する。
こんな流れで考えてます。
いきなりファクタリングに飛びつくんやなく、一個ずつ段階を踏むようにしてますわ。
使ってみて分かった、失敗せんためのポイント
手数料だけで選んだら痛い目にあう
ファクタリング会社を探すと、ネットには「業界最安値!」みたいな広告がいっぱい出てきます。
でも、手数料の安さだけで飛びついたらアカン。
手数料が安い代わりに、よう分からん費用を後から請求されたり、「債権譲渡登記」が必須で、結局手間と費用がかかったりすることもあります。
表面的な数字だけじゃなく、契約全体でいくらかかるのか、総額で比較することが重要です。
契約書のチェックポイント:ワイが引っかかったところ
これはホンマに大事な話ですが、契約書は隅から隅まで読んでください。
特に見てほしいのが「償還請求権(しょうかんせいきゅうけん)」の有無です。
「償還請求権なし(ノンリコース)」なら、万が一取引先が倒産しても、うちはファクタリング会社にお金を返す義務はありません。
これが普通のファクタリングです。
でも、「償還請求権あり(リコース)」って書いてあったら、それはもうファクタリングやなくて、売掛金を担保にした借金と一緒です。
取引先が倒産したら、うちが全額返済せなあかん。
ワイも一度、この文言が小さく書かれてる契約書を見つけて、危うくサインしそうになったことがあります。ホンマに冷や汗かきましたわ。
信頼できる業者の見極め方(ワイなりの基準)
最後に、ワシなりに思う「信頼できる業者」の見極め方をいくつか。
- 見積もりが明瞭で、手数料以外の費用についてもきちんと説明してくれる。
- 契約を急かさず、こちらの質問に丁寧に答えてくれる。
- 実績が豊富で、会社のホームページ情報がしっかりしている。
- 担当者のレスポンスが速くて、話が通じやすい。
結局は、人と人との付き合いです。
「この人になら任せられるな」と、自分が納得できるかどうか。
自分の直感も大事にした方がええと思います。
まとめ
長々と書いてしまいましたが、うちが2社間と3社間を両方使ってみて分かったことを、正直にまとめてみました。
- 2社間ファクタリングは、手数料は高いけど「スピード」と「秘密厳守」が命の時の緊急手段。
- 3社間ファクタリングは、取引先の協力が必要やけど「手数料の安さ」が魅力のコスト削減策。
- どっちが良い悪いやなく、会社の状況に応じて使い分けるのが一番賢い。
正直、どっちも一長一短です。
でも、“使い方”次第で、資金繰りの大きな助けになることは間違いありません。
一番大事なんは、自分の会社にとって今、何が一番大事なんか(スピードか、コストか、信用の維持か)を考えて、冷静に選ぶことやと思います。
これはあくまで「うちの場合はこうやった」って話やけど、同じように頑張ってる経営者仲間の、少しでも参考になれば嬉しいです。